会社員のみなさんは職場の資産形成支援制度をどれくらい使いこなせているでしょうか。もし「使ったことがない」「どんな制度があるか知らない」という方がいれば、それはかなりもったいないことかもしれません。本連載では、職場の制度(職域)を活用して「お金に不安なく健全に向き合える状態」(ファイナンシャル・ウェルビーイング)を実現するための知識をご紹介します。今回のテーマは「60歳からのライフプラン」です(全4回の1回目)。
記事提供:Finasee(フィナシー)
定年後のライフプランは一般的に「リタイアメントプラン」などと呼ばれます。そう聞くと「60歳で仕事を辞めて資産を取り崩して暮らす」といった生活を思い描いてしまいがちですが、現代では必ずしも定年=引退(仕事を辞めること)ではありません。生涯現役とまではいかずとも、会社の再雇用制度などを利用して長く働き続けることで、安定した暮らしを送ることが理想とされています。
だとすれば、定年を目前に控えた世代もまた「60歳で仕事を辞めて生活が成り立つか?」ではなく「60歳以降も安定的に収入を得るにはどうするか?」を考える方がファイナンシャル・ウェルビーイングを実現する近道になります。
今回は、そんな定年前最大の悩みである「60歳からのライフプラン」の考え方を解説していきます。なお、これから定年を迎えようとする世代には「配偶者が専業主婦(夫)の世帯」が多いことから、本稿では「配偶者が専業主婦(夫)の世帯」のケースをモデル世帯としています。
定年後も安定した収入を得るためには、次の極意3カ条を前提にライフプランを考えます。
前述した極意3カ条をもとにすると、夫婦2人ではどのようなライフプランを考えられるでしょうか。ファイナンシャル・ウェルビーイング編集部が提案する生涯安定収入プランは次の図の通りです。
※モデル世帯:配偶者が専業主婦(夫)。扶養者と配偶者は同じ年齢
※老後にかかるお金は月35万円程度(各種税金・社会保険料込み)とする
60歳定年後も働いて月30万円程度の収入を得る。退職一時金や財形・持株会などの退職時に受け取った資金から月5万円程度を取り崩す
夫婦の年金23万円程度を月の収入の柱として生活する。企業年金から月10万~12万円程度を取り崩す。退職一時金や財形・持株会などの退職時に受け取った資金から月2万円程度を取り崩す
配偶者は老齢基礎年金と遺族年金をあわせて月14万円程度を収入源として暮らす。
このように考えると、定年後も夫婦でまとまった金額の収入を得ながら安心して暮らしていくことが可能になります。また、上記はあくまでモデル世帯をイメージしたライフプランです。自分専用のライフプランを検討する場合は、①定年後の給与収入、②企業年金で受け取れる金額、③退職一時金・財形・持株会などの退職時に現金で受け取る資金、④預貯金からローンを除いた預貯金、などを考慮するようにしましょう。
ファイナンシャル・ウェルビーイング・マネジメント編集部
「ファイナンシャル・ウェルビーイング・マネジメント」は、事業会社の経営企画・人事部門向けの専門誌です。職場領域(職域)を通じた従業員への金融知識普及を目的とした、ファイナンシャル・ウェルビーイング・マネジメントに関する情報をお伝えします。
人事部門で「福利厚生・報酬・企業年金」等の実務に携わる方々の声を元に、従業員エンゲージメントの向上につながる「実用性の高い記事」を作成、掲載。人的資本経営への高度化に資する情報を届けています。